5×5トレーニングの仕組みと、3週目で挫折する理由
5×5トレーニングは魔法の公式ではなく、単純な足し算です。毎回のトレーニングでバーベルに2.5kgずつ足していく、それだけ。ただし始めた人の9割が、欲張った重量設定やスクワットの浅さのせいで2週目には早くも伸びが止まってしまいます。ここでは、このプログラムが実際どう組まれているか、そしてどこで結果を取りこぼしやすいかを具体的に見ていきます。
なぜ「5セット×5回」なのか
5セット×5回というのは、ボリューム(筋力を伸ばすのに十分な刺激量)と疲労(48時間で回復できる範囲に収める)の絶妙なバランスです。スクワット、ベンチプレス、ベントオーバーロウ、オーバーヘッドプレス、デッドリフトといった基本種目において、この組み合わせが直線的に重量を伸ばし続けられる期間が最も長いことが分かっています。 プログラムはAとBの2種類のトレーニングを、休息日を挟みながら週3回交互に行う形です。トレーニングA:スクワット、ベンチプレス、ベントオーバーロウ。トレーニングB:スクワット、オーバーヘッドプレス、デッドリフト(デッドリフトだけは5セットではなく1セット5回。腰への負担が大きすぎて週3回はもたないためです)。
重量の伸ばし方――9割の初心者がここでつまずく
ルールはシンプルです。トレーニングが成功するたびに、スクワット・プレス・ロウ系は2.5kg、デッドリフトは5kgずつ足していきます。ただ初心者は、空のバーや無理のない軽い重量からではなく、SNSで見た「かっこいい重量」からいきなり始めがちです。結果、3週目にはフォームの余力が尽きて壁にぶつかります。 3回連続で5×5がすべて完了できなかったら、それは正式な「失敗」判定です。ここで重量を10%落として、そこから再度伸ばしていく(デロード)必要があります。ところが多くの人は意地でデロードを拒否したり、そもそも失敗を記録せずに済ませてしまい、何ヶ月も同じ重量で足踏みして「なぜ強くならないのか」と悩むことになります。
週3回のスクワットは本当に大丈夫なのか
初心者が最も不安に思うのが「週3回もスクワットして回復が追いつくのか」という点です。実際には、筋トレを始めたばかりの人にとっては、頻度が高いほうがむしろ有利です。週1回よりも神経系がフォームを速く覚えられるからです。問題が出てくるのは、扱う重量が自分の1〜2回挙げられる限界に近づいてきたとき(だいたいプログラム開始から3〜4ヶ月目)。この段階では本当に回復が追いつかなくなるので、プログラムを一旦止めるか、もっと緩やかな伸ばし方に切り替える必要があります。 よくあるミスは、しゃがみが浅く太ももが床と平行以下まで下がっていないこと。これは種目の効果を下げるだけでなく、「バーベルの数字は伸びているのに脚の実力はついてきていない」という錯覚を生みます。
このプログラムに合う食事と睡眠
5×5は筋力を伸ばすためのハードなトレーニングなので、食事が足りていないと予定より早く伸びが止まります。目安は消費カロリーより少し多めに摂ること、そしてタンパク質は体重1kgあたり1.6〜2gを確保すること。ダイエット目的でカロリー制限をしている場合、直線的な重量アップが続くのはせいぜい数週間です。「減量しながら急速に筋力を伸ばす」は両立が難しい別々の目標だと割り切りましょう。 睡眠もこのプログラムでは特に重要です。週3回のトレーニングは回復の時間があまり取れません。睡眠時間が常に7時間を切ると、筋肉のポテンシャルよりずっと早い段階で挙上に失敗し始めます。
5×5が向かない人
筋トレ歴1年以上ですでにそれなりの重量を扱えている人は、毎回2.5kgずつ足していく直線的な伸ばし方は数週間で限界を迎えます。もっと波を持たせた複雑な伸ばし方が必要になります。また、腰に不安がある人にもあまり向きません。デッドリフトとスクワットの頻度が高く種目のバリエーションが少ないためです。この場合は事前にモビリティ改善に取り組み、始める前にトレーナーにフォームを見てもらうことをおすすめします。
1週間のプログラム例
筋トレ初心者向けの基本サイクルで、5×5メソッドの最初の6〜8週間を想定しています。ウォームアップセットは本番重量の前に必ず行うものとし、ここには本番セットのみ記載しています。
- • バーベルスクワット 5×5
- • ベンチプレス 5×5
- • ベントオーバーロウ 5×5
- • バーベルスクワット 5×5
- • オーバーヘッドプレス(スタンディング)5×5
- • デッドリフト 1×5
- • バーベルスクワット 5×5
- • ベンチプレス 5×5
- • ベントオーバーロウ 5×5
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